難聴者が就職活動・転職活動をする際、難聴であることを懸念されることもあるのではないでしょうか。
・難聴を懸念されるのは当たり前だという心構え
・難聴を懸念された時の懸念点に対しての解決策
・難聴関係なく価値提供できそうなのかの確認方法
私自身は両耳先天性の中等度混合性難聴で普段は補聴器をつけており、学生時代は10個以上アルバイトの経験があり、社会人になってからは複数回転職しています。
加えて、現職では採用面接担当も担っています。
面接で難聴を懸念される場面が何度もありました!
本記事では、中等度混合性難聴であり面接で何度も難聴を懸念されてきた私の実体験を元に、就職活動・転職活動で難聴を懸念された時に考えたいこと3選をご紹介しますので、最後までご覧になってみてください。
難聴のことを伝えて懸念されるのは当たり前
最初に考えたいことは、難聴のことを伝えて難聴を懸念されるのは当たり前だということです。あなたが面接官や経営者で逆の立場だったらどうかを考えてみるとイメージが沸くでしょう。
あなたが面接官だったら懸念すること
例えば、あなたが面接官で面接にきた人が難聴者だったとします。面接官のあなたが難聴に対して理解がなければ、何ができて何ができないのかわからないのではないでしょうか。
何ができて何ができないのかわからない場合や、お任せしようとしている仕事を候補者ができないと思われる場合は不採用になるはずです。
また、正社員採用の場合は面接が複数回あるのは普通ですので、目の前の面接官は候補者を通過させた場合の次の面接官からの心象や採用にいたった場合の社内的な評価を気にしています。
だとすれば、どういう配慮をすればよいのかよくわからない難聴の人を採用するよりも、健聴者を採用した方がよいと思うのは必然だと言えます。
難聴の理解がない面接官がほとんどだと思います!
あなたが経営者だったら懸念すること
あなたが経営者だった場合、難聴者を雇うとしたらどんな懸念点があるでしょうか。
極論、経営者としてはその人を採用することで会社の利益があがればよいわけですので、利益を生み出してくれそうなのかを厳しくみます。
利益があがるかどうかは採用した人が個人として利益をあげてくれるるという観点に加えて、会社全体のパフォーマンスがあがるかどうかが重要です。
採用した人が個人としては利益をあげてくれそうな人であっても、人間性やコミュニケーション面に問題があり、他メンバーのパフォーマンスが落ちる要因になりそうであれば採用しない判断になります。
難聴者を採用することで既にいる周りのメンバーが配慮しないといけないことが増えて、会社全体のパフォーマンスが下がることを懸念されるかもしれません。
経営者は組織全体としてパフォーマンスがあがる選択をするはずです!
懸念点に対する解決策を持っておく
採用する側が難聴のことを理解していないと、必要以上に懸念を持たれるケースがあります。懸念されるのは当然として、懸念点に対する解決策を持っておきましょう。
自分で補う努力
自分で難聴を補う努力としてどんなことを行なっているのか、これまでその努力によってどんな結果が出ているのかをお伝えしましょう。
例えば、以下のような伝え方です。
難聴を補うのに加えてエビデンスを残すためにチャットコミュニケーションを中心にコミュニケーションをとるようにしていました。
チャットコミュニケーションにおいては即レス即対応を心がけ、行間や絵文字から相手の心情を慮って仮説を立てながら行動してきました。
その結果、社内のコミュニケーションを口頭中心からチャットコミュニケーション中心に変えたことで、これまで言った言わない問題が発生していたのが解消されました。
加えて、私が即レス即対応を続けたこともあり社内全体の業務スピードがあがり、納期の半分の時間で成果物を仕上げられるようになるのが当たり前になりました。
上記は転職活動を想定した一例なので、あなたの状況に合わせてお伝えできるとよいでしょう。余談ですが、チャット文化の会社はIT企業には多いですが、それ以外の業界だとそこまで多くはないかもしれません。
私自身はIT企業で働いており、チャット文化のため難聴者の私でも働きやすいです!
配慮してもらいたいこと
自分で難聴を補う努力をしつつも、限界があります。どういう場面でどんな配慮をしてもらいたいかを伝えましょう。
「後ろからだと聞こえない時があるため、肩をたたいていただくか前方に回って手を振っていただけると大変助かります。」
「音は聞こえても言語の識別ができない時があるため、そういう時はゆっくりハッキリお伝えしてくださると大変助かります。」
「左耳より右耳の方が聞こえやすいので、右側から話しかけてくださると大変助かります。」
聞こえの特徴+具体的にして欲しい行動をセットでお伝えするとよいです。
どんな場面でどんな配慮をしてもらいたいことを伝えましょう!
配慮してもらう分行うこと
ただ単に難聴なので難聴に配慮してくださいと言うだけだと、難聴者を採用すること=ただ負担が増えるだけと思われてしまいます。
事実として配慮してもらうことは周りの人の負担を増やしてしまうことではありますが、その分あなたが何を提供できるのかを伝えましょう。
例えば、「難聴に関してご配慮いただく分、私の強みを活かして成果でお返しします。」といった内容をお伝えできるとよいです。
提供できることを伝えましょう!
難聴関係なく価値提供できそうなのか
難聴者の場合、難聴であることにとらわれてしまい難聴だからできないと思い込んでしまうこともありかもしれません。本当にそうでしょうか。
単にスキル不足ゆえにできていないことなのか、難聴だから仕方ないことなのかを切り分けることができると、自分の足りないスキルを埋めるための行動ができるはずです。
難聴起因のこととそうではないことを切り分ける
難聴が起因でできないこととそうではないことを切り分けましょう。
例えば、音の判別が重要な音楽関係の仕事に就いていたとしたら、音の判別が苦手な難聴者がその仕事の中で音の判別がうまくできないのは仕方ないことです。
ただし、その音楽関係の仕事においてもメールやチャットで何かを伝えるときの文章がめちゃくちゃだとしたら難聴は関係なく、単にテキストコミュニケーションスキルが不足している可能性があります。
本当に難聴だからできないのか確認しましょう!
難聴起因ではないことで能力不足やスキル不足はないか
目の前の何かできない事柄があった際、難聴起因ではない能力不足やスキル不足はないか確認してみましょう。
例えば、わかりやすい資料作成ができないとすると、資料作成スキルが不足しているかもしれません。コードを書いて何かのシステムをつくれないとしたら、プログラミングスキル不足かもしれません。
何かできないことがあると難聴のせいにしたくなることもあると思いますが、事実として難聴起因なのか能力やスキルが不足しているのかは整理して行動していきましょう。
足りないスキルや能力を確認しましょう!
まとめ
就職活動・転職活動で難聴を懸念された時に考えたいことは3つです。
1つ目は、難聴のことを伝えて懸念されるのは当たり前だということです。あなたが面接官、経営者だとしたらどんな懸念点があるのかを考えてみましょう。
2つ目は、懸念点に対する解決策を持っておくことです。自分で補うことと配慮してもらうこと、配慮してもらう分行うことを伝えましょう。
3つ目は、難聴関係なく価値提供できそうなのかです。できないことがあった時に難聴起因のこととそうではないことを切り分け、スキル不足や能力不足はないか確認しましょう。
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